【BCG流】スライド2枚の指示に潜む罠。1枚20万円の価値を生む「正しい書き方・構成術」

『考えるエンジン講座』の生徒は、事業会社の1年目、3年目の若手から、課長、部長、執行役員まで実に様々です。
もちろんコンサルタントも、アソシエイトから、コンサルタント、マネージャー、シニアマネージャーまで幅広く在籍しています。こういうと、考えるエンジンマフィアのお医者さんや弁護士さんから「おれも、おれも!!」と声が飛んでくるので書いておきますが、いわゆる「士業」の皆さんもたくさんいます。先日も「中小企業診断士」の方が来られました。
そんな中、39歳で戦略コンサルティングファームに入社したばかりの方の、記念すべき1回目の講義がありました。
そこで私が「最近はどのような仕事、TASK(タスク)を振られているの?」と聞いたときに、彼から返ってきたのが、「スライドを2枚、作ってください」だったのです。 一見、物量の少ないシンプルな作業に見えますが、ここにコンサルタントとしての致命的な「勘違い」と「罠」が潜んでいます。今回は、私がその時彼に解説した「スライド2枚の本当の書き方・構成術」と、注意すべき仕事の本質を丁寧に丁寧に紐解いていきます。
スライド2枚の「物量」に見誤ってはいけない!資料作成の勘違い
まず、多くの人が「スライド2枚」と言われたときに、次のような想像をしてしまっていないでしょうか。
「2枚できましたあ」と持って行く。
すると上司が「おお、なるほど。だったら、この見せ方じゃなくて、こう見せたほうがいいんじゃない?」とか「この文言より、こっちの文言のほうがいいよ」などとフィードバックをくれる。
──そんな想像をしてしまっていないでしょうか。
断言しますが、こう思っている限り、正しい働き方は絶対にできません。
最初にコンサルタントになった皆さんが勘違いするのが、「スライド2枚だから、サクッと作れるのではないか?」ということです。
昔、僕にコンサルスキルを徹底的に教えてくれた盟友であり、坂倉さんという人がいます。その坂倉さんの言葉を借りれば、
いただいたfee(報酬)を作るスライド枚数で割ると、1枚20万円はするんだよ
だから、そんな簡単に作れるものじゃないよ、という強烈なメッセージ。
ですから、2枚という物量の少なさに見誤って、「雑に」やってはいけないのです。マネージャーが「このスライドいいじゃん」となるには、普通は1年とか半年はかかると思ってください。
スライド2枚は「ケース設計」に通ず──プロが実践する5つのステップ
では、2枚のスライドの指示に対して一体どうすればいいのか。
その答えは「スライド2枚は、ケース設計に通ず」です。
だから、丁寧にこのように進めるのです。ここから丁寧に教えます。
まず大前提として、スライド2枚というのは単体ではありません。スライドは1枚のときと、2枚のときで大きく違います。2枚ということは、
論点(問い)がある。その論点に対して、2枚を使って答えるということ。だから、そこには論点構成がある。
のです。
だから気持ち的には、「この論点に対して、まずこの論点に答えてから、そのあと、その中のあの論点を答えるっていう感じの論点構成にしようか」というのが頭に浮かんできます。
この時に注意してほしいのは、これは「ロジックとは全く異なる」ということです。そして、これが、まぁ、基本的には上司とズレます。
だから、2枚お願いされて、ずばっと2枚の「論点構成が合う」ってことはまずないのです。
だからこそ、丁寧に次のように進めていきます。
気持ち的には、「マネージャーが2枚っていうのは、この論点のことだから、それを一番細かい論点の単位でいうと、こういうこの論点と、あの論点と……」と、答えなければいけない論点を徹底的に洗い出します。
その洗い出した論点(ワード)に対して、「今時点の作業から出た答えを書き込む」のです。そうして初めて、スライド2枚を書く準備ができたと言えます。
準備ができたら、そこで考えるのです。
「自分が話すときに、どういう順番で語る、どういう塊で語ると話しやすいか、議論しやすいか?」
これを、3通りつくるのです。
マネージャーに対して、次のように言えて初めて一流です。
「こういう括りから、この括りの切り方でつくったのですが、この議論をしたいのなら別の括りもあったんですけど、いったん、フラットな議論に耐えられる括りで作りました。」
実は、このステップ③の時点では「メッセージの文言」とか、そういうものはまだ一切出てきていません。括り、つまり論点の括りがマネージャーと議論し、噛み合ってから、初めてスライドとなり、そのスライドの中でメッセージとなるのです。
メッセージの一行は、括りである程度決まっていると思うから、ここから「どんな言葉を使えば、刺さるか?」を考えるわけですが、それはマネージャーの趣味です。だから、後回しです。ここではないのです。
つぎに使うべき力は、言葉遣いにこだわっていないメッセージと、それを言うために必要な材料(データや事実)をボディに載せること。ここが「ロジック」です。
ここでマネージャーから「ロジックが繋がっていないじゃん」って言われたときに、勘違いしてはいけません。
マネージャーも一流でないかぎり、親切に理由を言ってはくれないので、「は?何を言っているの?」とインプットを受ける側(あなた)も困惑することになります。
だけど、もし「ロジック」の段階でダメ出しをされたら、それは「言葉遣いにこだわっていないメッセージと、それを言うために必要な材料をボディ」の繋がり=ロジックがいまいちということです。
だけど、もしマネージャーから「全然違う」と言われたときは、こっちのロジックではなく、論点の括り(ステップ③の話)の段階がズレているんですよね。
ここまでいけば、あとは「見せ方」です。
①から④までがしっかり噛み合っていれば、「うん、こんな感じでいいよ」と言われますが、①から④が噛み合っていないと「なんで、その見せ方?」となります。
だから、スライドをただ見つめて、スライドフォーマットをいじっていても、いっこうにスライドは書けないのです。
スライドはワードと表でいいのです。ワードと表でいけるのは、①から④がしっかりしているからです。それがしっかりしていない人が「スライドフォーマットがうんぬんかんぬん」というのです。
「言葉遣い」や「見せ方」に時間をかけるのは無駄
ここまできたら、メッセージの言葉をいじったり、見せ方をいじればいいですが、「そんなこと、マネージャーがしたら、3分」です。だから、そこに時間をかけても無駄なのです。
そんなことをするつもりだから、どれだけ時間をかけてもかけても「いっこうに書けないよね、XXさん」といわれてしまうのです。 というのが、2枚のスライドの書き方です。
みんな、間違えている。ハマっています、なにからなにまで。
編集後記:インテレクチャルを磨こうぜ!
ということで、これを書いた今日は法人研修で合計、4時間教えてきましたが、本当に楽しかったです。特に部長を教えるのは本当に最高ですね。
ということで、みんなで仕事うまくなりましょう。
インテレクチャル(知性)を磨こうぜ。
さらに深く「思考のOS」をアップデートしたい方へ
今回ご紹介した「論点の括り方」のような、コンサルタントとして圧倒的な成果を出すための「具体的な実践ノウハウ」や「思考のOS」を、高松の公式note(有料マガジン)にてさらに多数公開しています。
「スライド作成の沼から完全に抜け出したい」「本当のインテレクチャル(知性)を身につけて、次の基準へ駆け上がりたい」という方は、ぜひ以下のリンクから他の解説記事もチェックしてみてください。


