議事録作成の奥義:成長と昇進を手に入れる方法
議事録作成の奥義:成長と昇進を手に入れる方法
議事録の役割とは
議事録の作成は、新しいものを生み出すことではないので、「ちょっと、面倒だな。」と思う方もいるかもしれませんが、実はとんでもなく奥が深く、あなたを成長させ、昇進のトリガーにもなり得るものなのです。議事録作成を面倒だと思ってしまったらもったいないです。
ここでは、議事録の基本ステップからメリット、避けるべきミスまでを詳しく解説し、効果的な議事録作成の方法を伝授します。
議事録は、会議での重要な情報を整理し、次のアクションを明確にする役割を果たします。 チーム全体の理解が深まり、プロジェクトの進行がスムーズになりますので、正確で効果的な議事録作成をマスターすることで、自身の成長やキャリアアップにも繋がるでしょう。さらに、議事録作成は単なる記録だけではなく、会議での議論を深め、意思決定をサポートする重要なツールです。何度も見返すことで、過去の会議内容を簡単に振り返ることができ、長期的なプロジェクトの進行管理にも大きく役立ちます。
議事録作成の基本ステップを理解する
ステップ1:要点を3つ(多くて5つ)に絞る秘訣
議事録作成の第一歩は、ミーティングでの主要な議論ポイントを3つ、多くても5つに絞り込むことです。これにより、情報が整理され、重要な結論や決定事項が見逃されることを防ぎます。
まず、この3行を読めば、不参加者も議論内容を把握できる、という、そんな内容を書きだします。
ここでは、話の順番とかは気にしなくても大丈夫です。
イメージは上司とタクシーに同乗しているときに「今日のそっちのミーティングの内容は何だった?」と聞かれて30秒程度で答える濃さです。
例えば、とある病院での議論内容をであればこんな感じでしょう。
- N95マスクなど医療資源を標準の使い方で使い捨てているため、将来不足していくことが懸念される
- 救急搬送された患者にコロナに特徴的な症状があるという事前情報がない場合、感染対策をせずに治療にあたってしまっている
- コロナ関連の議論は日々更新されるため会議で話し合われて決まった内容が周知されていない
これにより、会議の流れを把握しやすくなり、参加者全員が同じ理解を持つことができます。会議の要点を厳選することで、情報の氾濫を防ぎ、真に重要な部分に焦点を当てることができます。このプロセスは、議事録を通じて会議のエッセンスを捉えるための基盤を築くことに繋がります。
ステップ2:議論内容を深堀りする具体的方法
次に、各要点を詳細に掘り下げます。
ステップ1で書いた30秒程度で説明できる議論内容を、更に掘り下げて作成していきます。 この時、段落を一つ下げて詳細情報を書いていってください。
- N95マスクなど医療資源を標準の使い方で使い捨てているため、将来不足していくことが懸念される
- 現在の運用では、咽頭ぬぐい液を取るたびにN95マスクを捨てている
- 欧米では3日間同じマスクを使用している国もあるらしく、長期間使用のプロトコルはありそう
- 現在は使った分の医療資源を補充するという運用のため使用量を減らしても意味はないかもしれない
- 救急搬送された患者にコロナに特徴的な症状があるという事前情報がない場合、感染対策をせずに治療にあたってしまっている
- 発熱のある患者の隔離の運用はスムーズに行えている
- 気管挿管は特に感染リスクの高い医療行為だが、ゴーグルが救急外来に置かれていない
- コロナ関連の議論は日々更新されるため会議で話し合われて決まった内容が周知されていない
- 本会議で話し合われた課題が、そのあとどう対策を取ることになったのか不明なままである
- 決まった内容が院内の電子掲示板に掲示されてはいるが、コロナに関連しない事務連絡も掲示されるため、埋もれていく
- コロナ関連記事をまとめたフォルダーもあるが、それは政府発表の記事のみ
いかがですか?ここまでくれば、あと一歩。だいぶ議事録らしくなってきました。
これに、追加の資料やデータを提供することで、議論の深度をさらに高めることができます。専門家の意見やデータを取り入れることで、議論の信頼性と説得力を増すことができ、参加者の納得感を高めることができます。このステップを通じて、議事録はただの記録ではなく、会議の成果を最大限に引き出すための重要なドキュメントとなります。
ステップ3:ネクストステップの記述法
最後に、会議で決定した次のアクションプランを記載します。これは一番書きやすいのではないでしょうか?
ちなみにネクストステップは必ずしもステップ2までに書いた議論内容と一対一で対応している必要はありません。
ステップ2までを踏まえるとこんな感じになるのではないでしょうか?
- 救急外来では患者診療にあたるときはwalk in、救急搬送に限らずゴーグル、マスク、手袋、エプロンを装着する
- 救急外来、発熱外来で使われる医療資源は一日同じものを使い、汚染された場合は原則として医療用アルコールで拭く
- 本会議で課題としてあげられた内容は、毎週行われているコロナ対策会議にて提起する
- 今後会議で決まった内容は院内掲示板に掲示するだけでなく、コロナ関連フォルダーにて政府発表のものと院内決定事項を分けて保存する
- 全職員、コロナ関連フォルダーを1日1回は目を通すよう周知する
これに加えて、日時や参加者といった情報は必要に応じて追記してください。 これにより、会議が終わった後の行動が明確になり、スムーズな進行が期待できます。さらに、責任者や期限を明記することで、実行力が高まります。明確なやるべきことリストを作成することで、各メンバーの役割を明確にし、チーム全体の動きを効率化することが可能になります。このプロセスは、会議の成果を実際の行動に移すための重要なステップであり、プロジェクトの成功に直結します。
議事録作成のメリットを最大限に活用する
メリット(1):議論の要点を把握し、次のアクションに繋げる
議事録を作成することにより、会議での重要な議論ポイントを把握できます。これにより、次のアクションを明確にし、効率的な業務遂行が可能となります。さらに、過去の議事録を参照することで、プロジェクトの進捗状況を簡単に振り返ることができ、チーム全体の目標達成に寄与します。議事録があることで、過去の会議内容をいつでも振り返ることができ、長期的なプロジェクトの進行管理に大きな役立ちをもたらします。このように、議事録は単なる記録以上の役割を果たし、組織全体の生産性向上に貢献する重要なツールです。
例えば、新人でコンサルファームに入社したジュニアコンサル・アソシエイトにはありがちですが、ミーティングに参加しても論点がわからず、みんなは何を議論していて、何が決まり、次に何をすべきか迷子になってしまう人がいます。
でも、自分自身で議事録を書けば一気に論点を把握することができます。もしそこまで書けない場合、あなたが書いた議事録をベースに上司がアドバイスしてくれることもあるでしょう。 上司は、作成してくれた議事録を確認することで、部下がどこまで理解できていて、何がわかっていないのかがすぐわかり、アドバイスする側にとってもありがたいものなのです。
メリット(2):上司へのアピール力を高める方法
正確で明確な議事録は、あなたの努力と能力を上司に伝える絶好の機会です。上司は、あなたの議事録を通じて、会議の進行状況を把握し、あなたの洞察力を評価するでしょう。細部にまで気を配った議事録は、あなたのプロフェッショナリズムを示し、上司からの信頼を築く基盤となります。議事録を通じて、あなたの組織力やリーダーシップをアピールすることで、キャリアの次のステップへの扉を開くことができます。さらに、議事録を活用して、上司に対する自分の価値をアピールできる場を得られるため、積極的に活用しましょう。
どんなに優秀な人であっても、自分がどれくらい現状と課題を理解しているか頭の中を見せることはできません。でも、素晴らしい議事録を作成して上司に見てもらえれば、一発で「こいつ分かってるな」と思ってもらうことができます。
「そんな立派な議事録を書ける自信がないです・・・。」なんて自信が持てていない方でも心配しなくて大丈夫です。議事録をサッと書いて渡すことで、あなたの “やる気” は伝わります。無能を有能に見せることはできないですし、する必要はないですが、仕事に対する「熱意」はアピールすることができるのです。
こちらは2019年にエン転職が実施した「上司に聞いた “どのような点で困った部下だと感じましたか?”」のアンケートです。
上司に聞いた “どのような点で困った部下だと感じましたか?”
アンケート結果にある「報告・連絡・相談を怠る」「上司からの指示待ち」「仕事に意欲がない」なんて項目は、サッと渡す議事録によって “困った部下” の条件を回避できる道が拓けるのではないかと思います。
メリット(3):自分のスタンスに寄せられる
これはちょっと高度な技ではありますが、議論の中でなんとなく中途半端なまま終わる論点があります。それをこれから自分が持っていきたい方向に少し寄せて議事録を書き上げることができるのは、最初に議事録を書いた人の特権です。 また、議事録を通して、自分がどの方向に進むべきかを考えるきっかけを得ることができます。自分の考えや意見をしっかりと記録することにより、今後の目標設定や戦略立案に活かすことができます。このように、議事録を通じて自分のスタンスを見つけることができ、自己成長にも繋がります。
避けるべき議事録作成のミス
ミス(1):ダイアログ形式での議事録の誤り
ダイアログとは会話式の記録のことです。未熟なうちはやってしまいがちですが、ダイアログ形式の議事録は全く頭を使わないただの “作業” でしかない上に、「で?結局何を議論して何が決まったの?」という質問に全く答えられていない議事録になってしまいます。
会話形式のまま議事録を作成すると、要点が不明瞭になりがちです。重要な結論や次のステップを明確にするため、要点を整理することが重要です。議事録は、会話の流れではなく、結果や結論を中心に構成することで、読み手が容易に全体像を理解できるようにします。結論を先に示し、その後に必要な背景情報を補足することで、読み手が内容を迅速に理解できるよう工夫することが大切です。このアプローチにより、議事録はより明確で効果的なドキュメントとなり、関係者全員に価値を提供します。
また、ダイアログ形式でなくても、議論した際の会話の順番を気にしすぎて変な文章になってしまう人もいます。議論に参加していた人はどうしても会話の流れを重視しがちですが、そこはいったんバッサリ切り捨て、この会議で何が議論され、何が決まったか、を端的に書いていくことを意識してください。
ミス(2):見直しを怠ることの危険性
一度書ききった後に見直してみると、日本語がおかしかったり、書かれている内容のレベル感が一致していなかったり(大きな話と小さな話が同列に扱われている)、誤字脱字があったりします。こういうことは絶対あると思ったほうがいいのです。今まで一回もミスをしたことがない人がいないことと同じで絶対にどこかに1か所以上は不明瞭な点やケアレスミスは存在します。必ず内容を確認し、正確性を確保しましょう。誤字脱字や情報の誤りは、信頼性を損なう原因となるため、提出前に複数回のチェックを行うことが重要です。
一番多いミスは、会話の流れを重視しすぎて、書かれた文章だけ読んでも何を言っているのか意味不明な仕上がりになってしまうこと。そういう時は、大胆にバッサリ話の構造を変えて書き換えましょう。肝心なのは「どういう話だったのか伝えること」です。 見直しを怠ることは、重要な情報が誤って伝わるリスクを高めるため、慎重に行いましょう。
ミス(3):24時間以内に作成しないことの影響
議事録は鮮度が命です。
24時間以上経ってしまっては、記憶もあいまいになってしまいます。時間が経つと記憶が曖昧になり、重要なディテールを見落とすリスクが高まります。会議後24時間以内に議事録を作成することを心がけましょう。このタイムフレームを守ることで、会議の内容を正確に反映し、チームメンバー全員が最新の情報を共有することができます。早期の作成は、記憶が新しいうちに正確な情報を残すための効果的な手段です。議事録作成のタイムリーさは、チーム全体の効率性を高める重要な要素です。
可能であれば、ミーティングが終わったら2時間以内に書き上げてミーティング参加者に連携しましょう。ミーティングに参加していない上司にしてみれば、すぐに議論内容を知りたいものです。
議事録作成を成功に導くための追加リソース
おすすめ動画でさらに理解を深める
議事録作成の詳細な方法や実例については、こちらの動画をご覧ください。
視覚的な学習を通じて、さらに深い理解が得られます。動画を活用することで、実際の会議のシナリオを想像しやすくなり、議事録作成スキルの向上に役立ちます。動画教材は、視覚と聴覚を通じた学習を可能にし、より実践的なノウハウを得るのに最適です。視覚的な説明により、議事録作成の全体像がより明確に理解でき、実践に活かしやすくなります。
さいごに
議事録作成を面倒だと思ってしまったらもったいないです。
特に新人のうちは、社内ミーティング、クライアントミーティング等の際に議事録を頼まれなくてもご自身で取り組んでみると成長機会を得ることができます。 今回ご紹介した、メリット・作り方・やってはいけないことを踏まえて「ちょっと、面倒だな。」と思っても議事録作成から自身の成長と昇進のトリガーを掴んでいただければと思います。
「考えるエンジン講座」のご紹介
受講生の声:成長を実感する瞬間
「考えるエンジン講座」を受講した多くのコンサルタントが、実践的なスキルを身につけることで、自信を持ってプロジェクトに挑めるようになったと語っています。実際の業務で活かせる知識を得ることで、成長を実感する瞬間が増えるのです。講座を通じて得られる知識は、すぐに実践に移すことができ、プロジェクトでの成果に直結します。受講生は、講座で学んだ内容を活かし、より高いレベルでの仕事に挑むことができるようになっています。
無料相談のメリットと活用方法
無料相談では、具体的な課題に対するアドバイスを得ることができます。これにより、自分の現状を客観的に見つめ直し、次のステップへの道筋を描くことが可能です。相談を通じて、自分の強みや改善点を明確にし、次のアクションプランを立てることができます。まずは、お気軽にご相談ください。