ベインのパートナーに学んだ戦略コンサルのマインドセット5選

先日、久しぶりにベイン・アンド・カンパニーのパートナーである矢吹博隆さんとご飯を食べる機会がありました。
東大からハーバードMBA、BCGを経てベインへ。そんな輝かしい経歴を持つ一方で、ストリートスマートな考え方を大切にされている方で、本当に刺激を受けました。
今回の記事では、そんな矢吹さんから教えてもらった「戦略コンサルとして生き残るためのマインドセット」を5つにまとめてご紹介します。
コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト
10万部を超えた『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』の続編であり完結編にして、過去最高傑作。400ページにもわたる至高の “熱き講義形式” ボン。
コンサルタントが『マネージャー時代』に学ぶコト、学ぶべきことを詰め込んでおります。
1. 本よりファクト。データを見て、自分の頭で考えろ
矢吹さんが何度も繰り返していたのが「必要なのはデータだけ。本を読むとバカになる」という強烈な一言。
本を読むな、というわけではなく、他人の意見に流されるな、自分でデータを見て考えろ”というメッセージです。
特にヘルスケア領域では、コロナ禍を例に挙げながら、「怖いかどうかは、データを見れば分かる。思考停止で流されるから怖くなるんだ」と。
彼はニュースではなく、一次情報のデータを読み込んで、そこから仮説を立てることを徹底しているそうです。
コンサルにおいても、データを見る前に考えるなというのは基本中の基本。
あらためて、思考のスタート地点をファクトに置く姿勢の大切さを感じました。
フェルミ推定の技術
コンサル転職でのケース面接に必須のフェルミ推定ですが、ビジネスパーソンにこそ絶対に必要な、ビジネススキル。本書から最強の戦略思考を手に入れてください。様々な視点から導き出した「フェルミ推定の技術」を詰め込んでいます。
2. 人気のない分野を選べ。戦略の基本は「希少性」
矢吹さんはBCG時代、当時誰もやりたがらなかったヘルスケア領域を選んだそうです。
「みんなが行きたがらないから、行く価値がある。戦略の基本は希少性でしょ?」と笑いながら言っていたのが印象的でした。
当時、BCGの中ではコンシューマー系の案件が人気でしたが、矢吹さんはあえて外す。
その結果、ゼロからヘルスケア領域を立ち上げ、今のBCGヘルスケアの礎を作ったと聞きました。
競合が少ない=ポジションが取りやすい。
戦略コンサルとして成果を出すなら、人気に流されず、あえてブルーオーシャンに突っ込んでいく覚悟が必要だと実感しました。
3. 基礎は大事。でも“修行僧”にはなるな
矢吹さんは「基礎(土台)は大事。でも、それ以上は自分でストリートで学べ」という話もしていました。
よく僕も「自動車免許の例え」を使うんですが、基礎=教習所で学ぶべきこと。
でもそのあとは、実際に道路に出て、ぶつかりながら学ぶしかないんですよね。
矢吹さんも、「教えすぎると人は考えなくなる」と語っていて、まさに自分で取りに行く姿勢の重要性を説いていました。
戦略コンサルとして生き残るには、「与えられる学び」に慣れすぎないこと。一定の修行は必要。でも、修行僧にはならない。このバランス感覚がめちゃくちゃ大事です。
4. 自分のポートフォリオを持て
これは一番面白かった話かもしれません。
「野良猫の生存力は、下手なサラリーマンより圧倒的に高い」と矢吹さんは言っていました。
野良猫は
- 無駄な動きはしない
- 誰にも媚びない
- 餌場を一つに絞らず、複数持つ(リスク分散)
これって、戦略コンサルのキャリア戦略にも通じるんですよね。
一つの会社に依存しない、自分の価値で立つ、ポートフォリオを持って動く。この姿勢、まさに「ストリートスマート」です。
名前で仕事をするか、肩書きで仕事をするか――。
どこかで矢吹さんが「会社の名前じゃなく、矢吹という名前で勝負する」と言っていたのが、本当にカッコよかったです。
5. アンテナを張れ。「これは使える」と思ったときに動く
「ビジネスに使えると思った瞬間に、チェックする」というのも、矢吹さんの大事なスタンスでした。
読書も、勉強も、何かをインプットするのは「いつか役立つかもしれないから」じゃない。
これ、いま使える!と思った瞬間に、そこにリソースを割くべきだと。
なんとなく本を読む、なんとなく記事を漁る――それはもう意味がない。
今この瞬間に役立つものに、ちゃんと反応できるか。自分の感度と行動の速さが、価値を生み出すという話でした。
最後に:修行で終わるな。ストリートに出よう
矢吹さんの話を通じて改めて感じたのは、戦略コンサルにとって「学び続けること」は前提だけど、それが目的化した瞬間に価値は薄れるということです。
矢吹さんも、DJとして活動していたり、ビジネスに対しても遊び心を持って取り組んでいる。
楽しみながら、自分で考え、自分の名前で勝負する。これがストリートスマートなんだなと思いました。
学歴とか職歴とか、そういう肩書きじゃない。
名前で生きるために、今何を学び、どこに身を置くべきか。
そんな視点で、ぜひ今回の5つのマインドセットを、自分のキャリアにも取り入れてみてください。