「やる気ない部下」とどう付き合う?コンサルのモチベーション管理術

先日、ある事業会社の部長の方からこんな質問をいただきました。
「チームで達成したい目標があるんですが、モチベーションが上がらないメンバーがいて困っています。どう対処したらいいでしょうか?」
この悩み、実は事業会社だけでなく、コンサルタントのマネージャー職にもよくある話です。
僕のまわりでも、「メンバーの熱量がバラバラで…」「どう引き上げればいいのか分からない」といった声を、よく耳にします。
どんなに優秀なチームでも、全員が同じテンションで走っているわけじゃないし、「あれ、この人ちょっと今は乗ってないな」と感じる瞬間って、現場では本当によくあるんですよね。
そんなときに大事なのは、無理に誰かを変えようとすることではなく、どう設計し直すかを考えることです。
今日は僕が、コンサルでも事業会社でも同じように通用すると思っている、「モチベーションに振り回されないための4つの考え方」を紹介します。
1. 相手のモチベーションは、基本的に上げられないと知る
まず大前提として、「相手のモチベーションは基本的に上げられない」と思っています。
だって、メンバーにはメンバーの人生がありますよね。
ビジネスって、その人の人生の主役じゃない可能性だってあるわけです。
例えば、今その人がプライベートで何か大きなことに取り組んでいるかもしれないし、心身ともにちょっと余裕がないタイミングかもしれない。
そういう時に、こっちが「やる気出して!」と声をかけたところで、届くはずがないんです。
だから、最初から「変えようとしない」っていう割り切りが、むしろチーム運営では健全なんですよね。
その人を責める必要もないし、落胆する必要もない。ただ、「今はそういうモードなんだな」と受け入れるだけでいい。
2. モチベーションが高い人を『ひいき』する
ここ、すごく大事だと思っています。
チームでよくあるのが、「全員を平等に扱わなければならない」という意識です。
もちろん、嫌がらせとか、あからさまな差別はダメ。でも、全員に同じだけのリソースを配ることが、本当にフェアなのか?と僕は思うんです。
だから僕は、モチベーションが高い人に、より多くの時間やチャンスを割くようにしています。
たとえば、その人が「午後3時〜5時が一番頭が働く」と言うなら、なるべくその時間に大事なミーティングを設定してあげる。
そうやって、意欲の高い人が最大限にパフォーマンスを発揮できるように、チームの設計をしていく。
逆に、モチベーションがやや低い人は、無理に引き上げようとせず、「その人らしくやれる範囲で貢献してくれたらOK」というスタンスで接する。
その結果として、「全体のアウトプットの質」が上がる方が、ずっと健全です。
3. 戦略や計画の質でカバーする
じゃあ、モチベーションの低い人が多かったらチームの成果は下がるのか?と言うと、そうでもないです。
こういうときは、「戦略の質でカバーする」という考え方が有効です。
具体的には、論点ワードやワークプランの枚数を増やす。
たとえば、普段なら1.5枚くらい書く論点ワードを、モチベーションが低い人が1人いるなら+1.5枚、3人いるなら+4.5枚…という感じ。
思考量を1.25倍、1.5倍に増やすイメージです。これ、意外と効きます。全体の質が上がるので、個々のモチベーションに左右されにくくなる。
僕自身、そうやって量でカバーするマインドを持つことで、チームの生産性を安定させてきました。
4. 目標は「みんなのもの」じゃなく、まず「リーダー自身のもの」だと理解する
これもね、大事な前提です。
リーダーって、どうしても「このチームで目標を達成するんだ!」って気合いが入りますよね。
でも、その目標がメンバー全員にとって意味があるとは限らないんです。
冷静に言えば、チームのKPIや目標って、一番影響を受けるのは自分(=マネージャー)だったりする。
だから、モチベーションが揃わないのは当たり前なんです。全員が同じ温度感である必要なんてないし、「定時の間、淡々とタスクをこなしてくれてるなら、それで十分」と考えるくらいがちょうどいい。
誰かの人生の中心じゃないこの仕事に、過剰な熱量を求めなくていい。
むしろ、自分の責任で戦略やチーム設計を調整して、目標を達成するのがマネージャーの仕事だと思っています。
おわりに:変えられないものは、気にしない。それより、自分が変えられる設計を
メンバーのモチベーションがバラバラなのは、当たり前です。
それを無理に揃えようとするのは、時間も気力も消耗するだけ。
だから僕は、変えられないものは気にしない。
その代わりに、変えられる部分、つまりチーム設計や戦略の密度に集中するようにしています。
意欲の高い人が活躍できるようにリズムを整え、思考量を増やしてカバーし、マネージャーとしてチーム全体のバランスを取る。その方が、チームとしても健全だし、結果も出やすくなります。
「モチベが低い人がいても大丈夫」
そう思えるだけで、マネージャーとしての心の余裕もグッと変わるはずです。